当事務所の過去のご依頼者様に、測量詐欺の被害者が出てしまいましたので、事例をご紹介します。
1.相続登記の依頼の時に、司法書士から詐欺被害の注意を喚起されていた。
親が地方に原野を所有していたが、その親が亡くなり当事務所に相続登記を依頼された方の事例です。
ご依頼を頂いた相続登記が全て完了し、関係書類のご説明とお引渡しをした際に、司法書士の方からその依頼者(50歳代)に以下のように説明をしました。
司法書士
最近は測量詐欺が問題となっていますので、ご注意下さい。測量詐欺の特徴は、地方の土地や家屋の処分問題に困っている方々に着目し、『この原野、山林などを買いますよ。』と言葉巧みに近づいてくるのです。
ご依頼者
そうなんですか。でもそのような詐欺にどうして騙されるのですか?
司法書士
こういう詐欺犯は、不動産会社を装い、その土地を本当に買うように信用をさせます。被害者としては、その不要である地方の山林や原野をどうしても手放したいですから、騙されやすいのです。そして、被害者が信用したと感じた瞬間、詐欺犯は、『まずは測量費用が200万円掛かりますので、指定する口座にお振込みください。』と言ってきます。
ご依頼者
分かりました。たぶん詐欺には引っ掛からないと思いますが、気を付けます。
こうして最後の面談が終了したのでした。
2.測量詐欺の被害が発生
こうして関係書類のお引き渡しが完了した約半年後に、その方から当事務所に連絡がありました。
ご依頼者
先生、以前に測量詐欺に注意をして下さいと言われたにもかかわらず、測量詐欺の被害に遭ってしまいました。どうしたら良いですか?
司法書士
警察に被害を届出し、弁護士の先生を紹介するので、すぐに相談をしてみて下さい。実際にいくら振り込んだのですか?
ご依頼者
300万円です。まさか測量詐欺とは思いませんでした。早速、ご紹介された弁護士の先生に連絡をしてみます。有難うございました。
結末ですが、警察に被害届を出しましたが、犯人は捕まらず、弁護士の先生に相談をしても、被害の回復は難しいとの対応で終わってしまったそうです。
まだ50歳代と若い方でも、詐欺の被害に遭ってしまうことがありますので、注意が必要です。
ちなみに、測量詐欺の見分け方ですが、「測量費が掛かるのでお金を振り込んで欲しい。」と言われたら、【測量詐欺】と疑って下さい。
理由ですが、原則として測量費用は売主が負担する費用であり、買主が測量費用を求めるのは不自然であるからです。
売買契約前に、買主から測量費用を請求された場合は、くれぐれも注意をし、場合によっては、弁護士や司法書士に事前に相談をすると良いでしょう。