本日、事務所にお礼状が届いた。
送り主は、依頼者である福島県の山奥に住む●●さんだった。
【依頼(事件)の概要】
被相続人Aさんは過去のご依頼者。
子供がおらず、妻は先に他界していた。
そして、当事務所の近隣に一人暮らしであった。
そのAさんが亡くなり、甥である●●さんが、
後片付けや相続についてご相談のため
福島県からご来所頂いたのが、3年余前であった。
お話をよくお聞きすると、被相続人Aさんのほかに
独身で亡くなった被相続人Bさんの相続手続きも棚上げ状態。
自力で解決は不可能と考えていたようで、
●●さんから被相続人AさんとBさんの相続登記・相続手続きの依頼をお受けした。
相続人は全国津々浦々に居住している状況だったので、
まずは相続人全員にお手紙を郵送した。
資料を求められたので、詳細の資料を作成したりして、ご連絡を続けたが、
遺産分割で揉めるというより、
『一切協力をしない。』という相続人がいて、
やむを得ず遺産分割調停を申し立てることになった。
調停は下記の理由により苦戦が予想された。
☑相続人が多数で、全国津々浦々に居住
※一部の方は『相続分の譲渡』を、無償で●●さんにしてくれた😀
☑遺産分割調停の被相続人が2名(Aさん、Bさん)
☑長年未使用の機織り機の撤去費用が約1900万円必要
☑管轄が、福島県内の家庭裁判所であり、当事務所から遠方
☑●●さんはオンライン面談などが苦手で、大半は電話でやり取り
☑価値が乏しい不動産が複数存在
☑権利関係が複雑な不動産も存在
☑使途不明金の主張が相手からされている
長期化の要因は、枚挙に暇がない状態だった。
『複雑に絡んだ糸を、少しずつ解していくイメージ』
で進めていくしかないと思った。
●●さんも不安であったのであろう。
何度も私に連絡をしてきて、その都度相談に応じた。
家事事件については、
司法書士は書類作成が業務であり、
弁護士さんのように代理人とはなれないのがネック。
報酬も書類作成の対価であるため、
弁護士さんと比し、かなりリーズナブルになることが多い。
司法書士の業務としては、『超赤字』案件となり易いが、
良い経験とはなっている。
こうした苦い経験があるからこそ、
多くの方々に対し、
「相続の際に、遺産分割調停とならないように、
きちんと相続対策をすることが大切です。」
と、身をもって助言をすることができる。
さて、今回は3年余が経過し、
ようやく2件の遺産分割調停が成立し、
代償金も全額支払い、無事解決をした。
このような手紙を頂くと、
依頼としては『超赤字』だったとしても、
代え難い充実感というものがあるのだ。
これからも様々な依頼があると思うが、
今日のことを忘れずにいたいと思う。