【日本語が不自由なルーマニア国籍の方の公正証書遺言を作成中!】
約1カ月前に、
司法書士として依頼を受けていた
ルーマニア国籍の方の
遺産分割調停事件が解決したことを、
ブログにてご紹介しました。
現在、そのルーマニア国籍の方の
公正証書遺言を作成しています。
ルーマニア国籍の方の遺言を作成するに際し、
多くの問題点を検討してきました。
例えば、
❶準拠法はどうなるのか?
(ルーマニア法によるか、日本法によるのか?)
❷遺言の効力発生時に、
どのような内容にしたら
円滑に相続手続きができるか?
❸ルーマニアにいる親族は
日本語も英語も話せないらしく、
どのように説明をするか?
❹この方の遺骨や
飼っているペットをどうするか?
などです。
❶が判明しないと、
相続人が誰であるかさえ決まりません。
その国の法律により、
相続人が異なることがあるからです。
調べたところ、「反致(専門用語ですいません。)」により、
日本法が準拠法でした。
❷については、
日本国内には身寄りがないので、
困難が伴います。
また、ルーマニアに住む親族へ
財産を承継させる方法を、
事前に検討する必要があります。
この点は、私が遺言執行者となり、
不動産及び有価証券は売却をして現金化し、
ルーマニアに送金をする方法
(清算型遺贈といいます。)にしました。
❸も難しい問題点でした。
この方の親族はルーマニア語しか話せないので、
英語での会話が成立しません。
相続発生の際に、
私とコミュニケーションが取れないことが想定されます。
こちらは、日本語で作成されて、
公証人の認証を受ける遺言について、
英訳文も作成し、
相続発生の際には、
ルーマニアに英訳文を送り、
現地で英語からルーマニア語に
翻訳してもらう段取りとしました。
❹についても事前に検討し、
対策を講じる必要があります。
遺骨は死後事務委任契約を別途に締結し、
ペットについては、
200万円を遺贈する代わりに、
ペットを引き取る内容
(負担付遺贈といいます。)としました。
その他、一つ一つ問題点を解消し、
公証役場に遺言の案文を提出したところ、
先日ようやく公証人から遺言の案文が届きました。
冒頭文は、
「本公証人は、
遺言者●●●●(通称〇〇〇〇)の嘱託により、
証人兼通訳人高橋欣也及び証人・・・・・の立会いのもとに、
次のとおり通訳人の通訳による遺言者の申述を筆記して、
この証書を作成する。」
との記載でした。
この方の費用負担を少しでも軽減するため、
遺言の認証(3月15日)の際に、
私が「証人兼通訳人」として立会い、
通訳をすることにしました。
私、高橋欣也の英語能力は
日常会話レベルです・・・。
でも、多少の勇気と一生懸命調べて、
事前準備をしっかりしたので、
困っているルーマニア国籍の方を
救済することができそうです。
昨年、このルーマニアの方は、
複数の弁護士事務所に
通訳なしでは引き受けないと断られ、
経済的な事情から依頼をできず、
司法書士の私に助けを求めてきました。
今では感謝をされ、
これから事務所にワインを送って下さるそうです。
そのワインを飲むことが今から楽しみです!
★当事務所では、
高い専門性と豊富な経験により、
的確なアドバイスをしながら、
遺言作成のお手伝いをしております。
★専門性が低い
銀行などの金融機関にて
遺言書を作成してしまうと、
将来の相続発生時に、
相続人などが困窮する可能性があります。
★大切な遺言書ですので、
遺言の作成を考えている方は、
ぜひ当事務所までご相談下さい。