不動産会社の選び方

『某大手不動産会社が主催した税務相談会に参加したが・・・。』

不動産会社の選び方の一助となるように、当事務所に相続登記の依頼を頂いたご依頼者様(50歳代男性)の事例を紹介します。

1.きっかけ
某大手不動産会社(以下、「不動産会社」とします。)の営業所を会場にして開催されていた税務相談会に、ご依頼者様が参加したのが最初のきっかけとのことでした。

2.相談会での大手税理士事務所(担当の税理士が対応)との会話の内容

【ご依頼者様】
一人暮らしの母が高齢となり、自宅での一人暮らしも難しくなってきたため、母の自宅を売却して介護施設へ入所したいのですが。【担当税理士】
不動産を売却した際に、その不動産の購入時の価格より高く売れた場合は、その差額が利益となるので、譲渡所得税が発生します。【担当税理士】
もし、購入時の売買契約書がないと購入価格が、売却金額の5%とみなされてしまい、その結果、多額の譲渡所得税が発生してしまいます。

【担当税理士】
ところで、お母様がご自宅を購入した時の売買契約書はお持ちですか?

【ご相談者様】
えっ、母が自宅を買ったのはだいぶ昔の話しなので、きっと購入時の売買契約書はないと思いますが・・・。

【担当税理士】
それは困ったことになりますね。

【担当税理士】
例えば、今回、不動産会社に売却の依頼をして、お母様の自宅が3000万円で売却できたとすると、約570万円の譲渡所得税が発生します。

■計算書式:売却価格{3000万円-(3000万円×5%)}×20%=570万円

【ご依頼者様】
そんなに税金が発生してしまうのですか・・・。

【担当税理士】
近隣の方々が、ほぼ同時期に不動産を購入をされているというお話しなので、その売買契約書を入手して頂ければ、当税理士事務所が推定の購入金額を算出し、それにより譲渡所得税の申告をします。

【担当税理士】
税務署から認められれば、かなり節税することが可能と思われます。当事務所にご依頼をしては如何でしょうか?

【担当税理士】
なお、税理士報酬は、節税ができた金額の50%です。

【ご相談者様】
私は税金のことは全く分からないです。
このままでは多額の譲渡所得税の納税が必要となってしまうのであれば、是非お願いしたいです。

3.この税理士事務所に確定申告を依頼した結果
ご依頼者様のお母様の譲渡所得税はかなり減額されましたが、その反面、多額の税理士報酬を支払いました。
(あとで、無駄な税理士報酬を払わされたことを指摘されることになります。)

4.司法書士とご依頼者様との面談
ご依頼者様のお母様が亡くなったということで、相続登記の依頼をするためにご来所をされました。
初回の面談の際に、この話を聞いた瞬間、司法書士(高橋欣也)は、「マイホームを売ったときの特例」にて確定申告をすることで、とても簡単に譲渡所得税は無税となったケースではと不自然に思いました。

そこで、ご依頼者様に対し、「マイホームを売ったときの特例」について説明をし、当時の状況をお聞きすると、適用要件を全て充たしていました。

(国税庁HP https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm )

この特例により確定申告をすると、【利益から3000万円が引ける】ので、確定申告をすれば、簡単に無税となることを伝えました。

この税理士事務所は、「マイホームを売ったときの特例」を知っているはずですから、多額の報酬を得ることを目的に、このご依頼者様に不利益な提案をした可能性が高いと思います。

きっと税理士事務所は税務申告業務を、不動産会社は売却のお仕事を得る目的で、この相談会を企画し、素人であるご依頼者様に対して、言葉巧みに不安を煽っていたと推測しました。

しかし、司法書士は税務の専門家ではないため、面談後に、すぐ当事務所の顧問税理士の先生へ確認をしたところ、そのケースでは「マイホームを売ったときの特例」が適用されるので、不適切な業務と言えますとの回答でした。

5.当事務所からお伝えしたいこと
司法書士事務所として、横浜市民、町田市民、相模原市民を中心に、1万件以上の相談に応じてきました。

司法書士として、「大手不動産会社だから安心」という市民感覚は全く根拠がなく、地元で長年経営をする不動産会社さんの方が、地域に密着し、よっぽど信頼できると感じます。

長年地域に密着している不動産会社は、つねに適切な業務をしていないと、近隣住民から信頼を獲得できません。

大手不動産会社は、大量の広告と資金力で、容易にお客様を獲得できるので、お客様一人一人への想いや親密さでは、地元不動産会社に到底勝てないのです。
(※念のため、ご本人様へ事例紹介として掲載する旨の許諾を頂いております。また、個人が特定できないように内容を配慮しております。)